小説

「スロット」(超掌編)

絵柄がなかなか合わない。残業をせずに職場を出た僕は、ふらっとスロットへ立ち寄った。動体視力には自信がある。なんてったって僕は少年野球のエースだったから。けれど、どうにもうまくボタンと絵柄が合わない。仕事も遊びも思う通りに行かないということ…

かけら花火

「それで、お前はカメラと被害者の所持品を盗んだことを認めるんだな?」 容疑者Xは黙って頷き、その罪を認めた。Xは目を見開いているがうつむいており、唇は何かを言いたげそうに動いている。 「何か言いたいことがあるんじゃないのか」私は語気を強めて…

影の断片

夜勤のアルバイトが終わりに近づくころ、僕は店内に差し込む朝陽と共に入店してくる客たちを相手にレジ打ちすることで精一杯だった。彼らはいつ見ても、生気のない顔をしていた。目はとろんとして、皆視点がどこにも定まっておらずうわついている。 僕はそん…