風と少女

『風と少女』 ミチコ・ナリタ

 

風が鳴る

 

誰かが赤子を身ごもった夜

 

路地を一匹の風が歩いた

 

今ではもう

 

赤子の顔を知る者は誰も居ない

 

 

キンモクセイ薫る秋に

 

風は少女とすれ違った

 

名を聞く間もなく